リージェント セブンシーズ クルーズ「セブンシーズ スプレンダー」で巡る夏のスカンディナビア vol.2
2023年10月07日
クルーズラバーにとってようやく心ゆくまで世界の洋上の巡る扉が開いた2023年の夏、バルト海を目指した。今回は、ヨーロッパ大陸とスカンディナビア半島に囲まれた海域、北欧の4カ国を巡るクルーズ船でのアクティビティ、エクスカーションのスウェーデン最大の島、ゴッドランドの中世の面影を残す世界遺産の町、ヴィスビーをリポートする。
テラスでの朝食後、スウェーデン最大の島、ゴッドランドのエクスカーションへ
朝、到着したのは、スウェーデンで一番大きい島、ゴットランド。
爽やかだが海風は少し冷たいほどで、太陽は弱々しい。それでも、多くのゲストがテラスで朝食を取っている。ヴィノワズリやドーナッツ類だけでも十数種、ジャムやフルーツのディスプレイも洗練された豪華なブュッフェスタイル、朝からノンアルカクテルが飲めるのもお洒落だ。
食後は、クルーズ料金に含まれているエクスカーションへ。予約しておいたゴッドランド島の古都ヴィスビューを散策する。バルト海交易の中心で中世にはヴァイキングの支配下となり栄えたスウェーデン最大の島だ。
町を取り囲むハンザ同盟時代の砦や城壁が今も残る中世の町並みが世界遺産に登録されているヴィスビューは、宮崎駿の『魔女の宅急便』のモデルにもなった町とされている。
オレンジの屋根が連なり、花々が咲き乱れる石畳の小路を歩けばメルヘンの世界へと誘われる。町には、廃墟となった13の教会がヴィスビーの歴史を物語る。カフェやレストラン、ホテルになっている廃墟教会もあるので、ヴィスビーならではの歴史遺産で過ごしてみるのもいいかもしれない。
なかでも、サンタカタリーナ教会(写真下から2番目)は、滅びの美学を感じさせる廃墟。ヴィスビーの城壁内の中心である大広場に立ち、その姿は異彩を放っている。
ランチ後プールサイドでまったり、のち船内のアクティビティを巡る
3時間ほど街巡りを終えて、船にもどるとテラスでイタリアのロゼとともにパスタランチ。朝は18度ほどだが昼間は25度ぐらいの気温、暖かく陽の光を浴びて、海風に吹かれながらゆったり食事を楽しめる。
バルト海は狭く複雑な地形で多数の島が点在する海域、船の操縦にはかなりのテクニックが必要なのではないか。そんな疑問に、キャプテンがインタビューの時間をとって答えてくれた。
「確かに世界で一番難しいルート。だからこそおもしろいんです。朝、次の港に入るために夜中の2時から待機して準備をしています」。
その分、時間がある時は、極力睡眠をとるようにしているという。起きている時間の最も重要な任務は気象状況を把握すること。「タイタニック」沈没を考えても一瞬たりとも気が抜けない仕事だ。
そんなキャプテンの一番のお気に入りのルートは太平洋航路。アラスカの氷、浅いチャイナシー、天候が変わりやすいアジアの海。これらのスリルをかわしながら高度な航行術を駆使して滑るように進むクルーズに魅力を感じているようだ。
イタリア出身のキャプテンは、子供の頃、家族と地中海クルーズに行き、船乗りに憧れを抱いた。 5年間航海士になるための学校に行き、さらに2年の実習を経てプロになったという筋金入りの「海の男」。まさに世界の海を股にかけている。
昼過ぎ、プールサイドでまったりするのがクルーズならではのもっとも楽しい時間。これこそクルーズの醍醐味だ。ふだん味わえない貴重な非日常的過ごし方である。チーク材のプールデッキには、大きな温水プールと2つのジャグジーが設えられてらいる。
読書の合間にまどろんだり、仕事をしたり、ネットサーフィンをしたり。洋上でもWi-Fi環境にまったく支障はない。途中、プールサイドのバーから何度も飲み物や軽食のオーダーをとりにきてくれるのも優雅なクルーズスタイル。この船はカクテルが充実しているので、本日のカクテルにさまざまトライする。プールサイドには、ハンバーガーやピザなどの軽食、ケーキやアイスクリームといったデザートまで盛りだくさんのブッフェも備えられている。ディナーに影響しない程度にがっつりプールサイドのおやつタイムを満喫する。
それぞれのデッキチェアにはプライベートな仕切りがあり、隣との空間も余裕を持って作られているので、自分だけの空間を存分に堪能することができる。
見渡せば、プールサイドでのんびり太陽を浴びている人がいる一方、船内ではさまざまなアクティビティが行われている。デッキには、ミニゴルフやテニスをしたり、ランニングやトレーニング、ピラティスやヨガをするスポーツマインドの人たちで活気にあふれている。
夕方出航した船内を回ってみると、人気のマジックショーには、あふれるばかりの人の波。ブリッジのクラスやクッキングクラスに参加したり、モンテカルロスタイルのカジノで、エキサイティングなギャンブルタイムに興じる人も。カジノは通過する領土の制限なく航海中は毎日営業だという。ブラックジャック、ルーレット、ポーカー、クラップス テーブルや、目にもカラフルなスロットマシンが並ぶ。
美しいインテリアでまとめられたカードルームは、思索にふけるのにふさわしい静謐さをたたえたオアシス。昼下がりや夜に、お気に入りのチームメイトと共にボードゲームに興じたり、一部のクルーズにあるACBLトーナメントやソーシャルゲームのブリッジにもご参加可能。
その向かいのライブラリーには、多数の本が揃う居心地のよい図書館。リラックスして読書に没頭するのには最適だ。各地のガイドブックをはじめ、ベストセラーの推理小説や古典の名作など豊富な蔵書も取り揃えている。
こうした船内アクティビティのリストの詳細は、夜、部屋に用意される翌日のリストにびっしり書き込まれている。どこで何時から何があるかを調べて、当日ぶらりと参加してみればよい緩いシステムもありがたい。他国の人たちと出会いの場にもなり、帰国後に連絡をとりあえる友人になれる楽しみもありそうだ。
オールインクルーシブの美食のラグジュアリー体験とアフターディナーの楽しみ方
ディナーは、いつものようにゴージャスな雰囲気のなか、ヨーロッパ料理をメインにアジアンテイストやベジタリアンのメニューも充実したノンジャンルの食事が選べるレストラン、広々とした空間も気分が上がる「コンパスローズ」(写真上)へ。
世界で最もインクルーシブなラグジュアリー体験ができるのがこのクルーズである。カジュアルにすませたければ、プール グリルも利用したい。地元のおいしいバーベキューから日替わりの新鮮な魚のグリルまでお変わり自由である。
あるいは、本格的なアンティパストやイタリアの名物料理のアラカルトメニューを豊富に取り揃え、高級イタリアワインも無料、というイタリアン「セッテマーリ(写真中央)」。どの料理も、注文を受けてからシェフが新鮮で上質な素材だけを使って繰り出されるディナー。さらには、ステーキハウス「プライム 7」は、第一級の肉に現代的なアレンジを加えたステーキが楽しめる米国で愛されているステーキハウス。豪華な店内でモダンにアレンジされた伝統的なステーキに舌鼓を打つ。
また、フランス料理なら「シャルトリューズ」(写真下)。パリのシックな高級ダイニングレストランを思わせる風格あるインテリアの店内で、フランス料理の粋を凝らしたコースを洋上で満喫できる。
食後に過ごすのは、ミュージカルやコンサートなど、こちらも多彩なプログラムが組まれている。コンステレーションシアターでは、プロダクションショーをはじめ、さまざまなパフォーマンスが毎日開催されている。
部屋にもどってテレビをつければ、船の中でもCNNをはじめ世界中のチャンネルを見ることができるほか、多種多様な映画も用意されている。毎夜、楽しんでいたが、その日は人気ミュージカルを映画化した『マンマミーア』を見ながら眠りに落ちる。
明日は、寄港地から内陸にバスを走らせ、バスで2時間半もかかるドイツ・ベルリンへのエクスカーションが待っている。
to be continued…
Text&Photos Miki Yamashita
「地上最後のシャングリラ、安息と癒しのブータン最終回」