100年の歴史を体感、マラケシュのラグジュアリーホテル「ラ・マムーニア」で異国情緒あふれるステイ
2023年12月04日
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ベルベル語で“神の国“を意味するマラケシュ。モロッコのほぼ中央に位置し、サハラ砂漠への隊商路の基点として発展した王都です。過去フランス領であったことから、ヨーロッパでは、古くからフランスの洗練とミックスしたエキゾチックな雰囲気が好まれ人気の旅先となっていました。迷路のような路地裏やスーク(市場)、不思議の国に迷い込んだかのような神秘的な街。モロッカン雑貨やイスラム建築の美など、日本でも旅好きな人が早くから注目していた憧れの地です。
オアシス都市の面影を残す旧市街にある活気溢れるスーク、美しい装飾が施された神学校、熱気渦巻くジャマ・エル・フナ広場など観光スポットも多数あります。
マラケシュ近郊には、イヴ・サンローランが買い取ってリノベーションしたマジョレル庭園があり、2017年オープンのイヴ・サンローラン美術館が併設されています。ローズカラーの山脈、伝統的な建築に見られる宝石のようなモザイク、町を歩く人々の民族衣装…… 。ドレープの美しいカフタンや、ベルベル族の衣装ジュラバと出会い、サンローランにとってモロッコ文化がクリエーションの源となったといわれています。パリのクチュールにモロッコのエキゾチシズムを取り入れたスタイル、サンローランのデザインの真髄を見ることができる美術館として、オープン時には、大きな話題を呼びました。
そのイヴ・サンローランをはじめとする数々の著名人に愛されてきたマラケシュを象徴するホテル、ラ・マムーニアが2023年、100周年を迎えました。1923年のオープン以来、世界中の王侯貴族や政治家、ハリウッドスターやセレブリティたちを虜にしてきた伝説のホテル。旧市街を囲む12世紀の城壁内に位置し、高い壁に囲まれた敷地内には緑あふれる西洋式庭園が広がります。シトラスの木々やかぐわしいバラの花、太古のオリーブの木立が生い茂る広大な庭園は、町の喧騒を忘れさせてくれる安らぎのオアシスです。
ラ・ マムーニアに泊まりたいがためにモロッコを訪れる人も多く、The World’s 50 Best Hotels 2023では6位に入るなど、世界中のホテルラバー憧れの歴史に彩られたディスティネーションです。
2020年、2023年には、フランスで活躍するデザイナーのパトリック・ジュアンと建築家のサンジット・マンクの監修によるリノベーションが大々的に行われ、300人の職人が数か月をかけて完成させた豪奢な歴史的ホテルの再生が話題になりました。
2020年には、世界の美食家を魅了するジャン–ジョルジュのプロディースで、シックなイタリアンとアジアンレストランがオープンし、刷新されたチャーチル・バーには、Kaviariのキャビア&シャンパンが登場。広大な庭園には、ピエール・エルメが監修したティーサロンがオープンし、シトラスの風に吹かれるなか、アフタヌーンティーや朝食を楽しむ贅沢な時間が流れます。
2023年の改修の目玉は、ホテルに入った瞬間、目を奪われる「貴婦人の宝石」という愛称のゴージャスな100周年記念シャンデリア。「マラケシュの貴婦人」と謳われるラ・ マムーニアにふさわしい壮麗な仕掛けでゲストは迎えられます。
ロビーの優雅な雰囲気を引き立てるシャンデリアは、宙に浮く2連のネックレスを想起させるデザインで、現代性と伝統、モロッコ文化と国際的な視点を融合する意欲的なアート作品。ラ・マムーニアの時を超えた魅力と精神が未来にわたり続いていくことを象徴しています。
ピラミッド型の天井にシームレスに取り付けられたシャンデリアは、モロッコで代々受け継がれてきた「tamazight(タマジクト)」と呼ばれる伝統的なジュエリーから着想を得たもの。1連目の内側のアラベスク模様のネックレスは、500個以上のニッケルシルバーとシルバーのペンダントがあしらわれた赤い装飾用コードで構成され、モロッコの職人が彫刻や型押しなどの技術を駆使し、すべて手作りで仕上げた芸術作品です。
そんな大がかりなリニューアルを経て、生まれ変わったラ・マムーニアでは、2023年10月、「モロッコの伝統」「ラグジュアリー」「芸術的な生活様式」の3つを柱テーマに、創業100周年記念イベントが開催され、世界中からラ・マムーニアファンの1000名以上ものゲストが集結。
モロッコならではの世界観を体感できるテーブルコーディネートに彩られ、ジョン–ジョルジュ・ヴァンゲリステンシェフによる豪華なディナーが繰り広げられました。ラストは、ピエール・エルメによるデザートがゴージャスに締めくくります。
イベントが終わりに近づいた頃には、500 機ものドローンが出現、花火ショーが最後を飾り、町全体がお祝いムードにあふれていました。
ホテルの本館には135の客室に71のスイート(写真上2点はシグネチャースイート)があり、庭にはぜひ泊まってみたい3軒の「リヤド」(写真下)と呼ばれる邸宅があります。「リヤド」とはモロッコの上流階級の邸宅を宿泊用に改装した宿泊施設。歴史を肌で感じられる美しいモロッコ様式の建築スタイルに浸りながら、ラ・マムーニアならではの温かいホスピタリティによる非日常の癒し時間を過ごすことができます。
庭園に面した客室から見える4000メートル級のアトラス山脈の雄大な景観が圧巻。客室は天井が高く、庭園を望むテラスが開放的な空間を演出しています。モロッコならではの美を感じさせるのが、床から壁、天井まで精緻なモザイクのタイルで埋め尽くされ、数百にも及ぶバリエーションを持つ「ゼリージュ」と呼ばれる幾何学模様。修復を重ねて100年の歴史を積み重ねた博物館のような館内は、建築やアートが好きな人ならじっくり散策しながら見学したくなることでしょう。
このホテルで、ぜひトライしてみたいのは、モロッコと東洋文化の魅惑的な融合にインスピレーションを得た27,000 平方フィートのラ・マムーニアスパ。Amala と marocMaroc の製品を使用したフェイス セラピーとボディ セラピーのフルライン、La Ric のマニキュアとペディキュアを含む 80 種類以上のトリートメントが用意されています。シグネチャーは、豪華バージョンのハマム。モロッコでしか体験できない伝統的なトリートメントで疲れた体と心をリフレッシュできます。
2024年、マラケシュの歴史を物語るホテルステイで、異国情緒漂う旅を予定してみてはいかがでしょうか。
text:G&T編集部