奥山久美子セレクト 名造り手のデイリー・ワイン⑥ テロワールを忠実に表現する優等生、ジョゼフ・ドルーアン
2017年06月16日
日本の老舗ワインスクール、アカデミー・デュ・ヴァン副校長 奥山久美子先生が、現地に行って見つけたクオリティの高いコスパ・ワインガイド、「名造り手のデイリー・ワイン」。連載6回目は、ブドウ畑を理想的な状態に保つために小規模経営にこだわり管理、シャブリからボージョレまで品格を感じるワイン生産しているボーヌのメゾン・ジョゼフ・ドルーアンです。
Maison Joseph Drouhin
メゾン・ジョゼフ・ドルーアン
4大ネゴシアンのひとつであり、特にテロワールを忠実に表現するワイン造りを目指す優等生的な生産者。1880年ボーヌの街に設立された家族経営のメゾン・ジョゼフ・ドルーアンは、2003年からフレデリックが4代目当主として手腕を発揮し、ほかの兄弟はブドウ栽培、ワイン醸造、運営を行っています。自社畑から造るドメーヌものワインの比率は60%、契約栽培農家のブドウから造るワインは40%。ブドウ畑を理想的な状態に保つためには栽培担当者22人に対して80ヘクタールの広さまでという信念のもと、それ以上は畑を広げず小規模経営にこだわり管理。自社畑はコート・ドールとシャブリに半々ずつ所有しています。
ブドウ栽培にはとりわけ熱心であり1987年から有機農法、1998年からは全ての畑でビオディナミ(生命力学)農法を実践しています。化学肥料・殺虫剤・除草剤・防カビ剤を使用しない農法の場合、雨が多い年には病害によるダメージ(収穫量の減少等)が多いのではないかと思われますが、プレパラシオン(調合剤)の効果もありブドウに抵抗力がついているとのこと。また、土壌が活性化することによってブドウ本来の個性やミネラル分が強まります。そのエネルギー豊かなブドウを用いて造られるワインからは、それぞれの畑の典型的な特徴が伝わってきます。ドルーアンが造るシャブリからボージョレまで、どれも品の良さを感じとることができます。
ドルーアンの特級畑の白ワイン「モンラッシェMontrachet」はその複雑性や深み、品格において最高峰の存在ですが、ドルーアンの代表作品と言える注目すべき白と赤ワインを生む畑は、ボーヌ村にある一級畑「ボーヌ・クロ・デ・ムーシュ Beaune Clos des Mouches」です。1921年に初めて入手したという畑から生まれる、華やかで芳醇な風味を持つ、白・赤ともに精緻で堂々としたワインです。
また、1988年にアメリカのオレゴン州ウイラメット・ヴァレーに、いち早くピノ・ノワールの可能性を感じて畑を購入し、ドメーヌ・ドルーアンを設立。オレゴンで初めて造られたフランス的でエレガントなピノ・ノワールは、アメリカのワイン生産者の模範とされています。
ショレ・レ・ボーヌ2012
Chorey-les-Beaune 2012 3500円
輸入元 三国ワイン
コート・ド・ボーヌ地区、コルトンの丘の麓に位置するショレ・レ・ボーヌ村に6ヘクタール所有しているピノ・ノワールの畑から生まれるコート・ドールで最もフルーティでチャーミングな赤ワイン。潰したての苺のようなフレッシュさと華やかでフローラルな香り、しなやかな果実味とシルキーなタンニンと酸との調和がエレガントです。
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