名料理人のスペシャリテ美食リレー⑳ 「ドゥエリーニュ」柔軟な発想のフレンチ・イタリアン

カテゴリー／ GOURMET ｜投稿者／ Gouret&Traveller
2018年12月29日

人気シェフの自慢のスペシャリテをご紹介、次の料理人を推薦していただきリレー形式でつないでいく連載20回目は、名イタリアン「マンジャペッシェ」の姉妹店「S (エッセ)」の清水明完シェフ推薦で、パスタの出るフレンチ、「ドゥエリーニュ」の瀬野景介シェフにご登場いただきます。

四谷三丁目交差点から四谷方面に歩いて数分、路地裏に潜む2011年オープンの隠れ家レストラン、「Due Ligne（ドゥエリーニュ）」。濃紺のドアを開けると、目を引くカウンター。オーナーの瀬野景介シェフは、ひたむきにその日の食材、そして料理と向き合いながら、オープンキッチンでゲストを迎える。木のぬくもりを感じる店内は、座り心地のよいハイチェアや柔らかいライティングにもこだわり、快適な空間づくりに力を注いだ。
ゲストが手元をワクワクしながら眺めるなか、フレンチとイタリアン、どちらの修行経験もあるシェフは、枠を超えた柔軟な発想で「考え抜いた」シンプルな料理を生み出す。

「料理の鉄人」世代で、子供の頃に、背の高いコック帽のかっこよさに惹かれた。専門学校卒業後、横浜、都内のホテルや「タテルヨシノ汐留店」などフランス料理店で修行。フランス料理の基礎を学んだ。「パスタのあるフレンチ」とみずからのレストランを説明する瀬野シェフはアルザス、ブルゴーニュの一つ星２店で修行後、幡ヶ谷「ディリット」でイタリア料理も学んだ。同店の坂内正宏シェフを師と仰ぐ。

カウンター13席は瀬野シェフによる料理のライブ鑑賞の特等席。料理と会話をゆったりと愉しめる。研究熱心なシェフは、毎日豊洲に行き、旬の食材を探求している。旬のおいしさやそれを引き立てるソース、盛りつけも洗練されたオリジナル・スタイル。ひとりで切り盛りしている瀬野シェフの心意気を感じる値付けも控え目。おまかせコース7500円〜（税抜）は、シェフおすすめの前菜、パスタと選べるメイン6品。

料理に合わせて愉しめるように、バラエティに富んだグラスワインをそろえている。9時以降はワインをメインにアラカルトを愉しむ常連さんも多いという。迷ったら好みや料理との相性からワインを提案してくれる。そんなシェフとのコミュニケーションも楽しい。ラストオーダーが遅く、落ち着いた店内のカウンター。友人とともに、のみならず一人でもぶらりと訪れて気兼ねなくゆったりと過ごしてみたい。

赤座海老のタルタルとカブのムース

佐島の赤座海老にカブ。状況や季節を捉えて素材の味がきちんと出るように考える。今、野菜がどんどん甘く作られるようになり、野菜本来の味が変わってきている。カブは本来苦味が大切だ。知っている素材が予想通りの味になることが大切。カブひとつとっても、「カブっておいしいね」と言われる料理を作りたい。

尾長鴨の炭火焼き

メインディッシュは、肉の炭火焼き。鴨一羽を解体するところから始まり、料理の秘技などを訊ねながら完成を待つ。キッチンは自分で動線を考えて設計。特注で炭火焼きをセットした。油を完璧に落としたパリパリの皮に、なかの肉は完璧なロゼ、皮の焦げ目が香ばしい。常に炭火しか表現できない最高の塩焼きを目指しているという。

トリッパのスパゲティアラビアータ泡辣椒(パオラージャオ)風味

スペシャリテのパスタのなかでもマニア受けしそうな、ここでした味わえないスパゲティ。細めの麺に豆板醤に似た中華ペースト、泡辣椒をからませる。チーズと醬の想像を超えた味のコンビネーションにトリッパの食感が新鮮。

Due Ligne（ドゥエリーニュ）
 東京都新宿区四谷3-4-2 鳥重ビル
 地下鉄丸ノ内線四谷三丁目駅 4番出口徒歩3分
 050-3373-9004 
月・火・日ディナー18:30～22:30（L.O.22:30） 　木～土 ディナー18:30～翌1:00 （L.O.1:00） 
水曜日休み   