名料理人のスペシャリテ 美食リレー⑮ 本格ジビエが季節を問わず食べられる「ア・ターブル」

カテゴリー/ GOURMET |投稿者/ Gouret&Traveller
2018年05月24日

人気シェフの自慢のスペシャリテをご紹介、次の料理人を推薦していただきリレー形式でつないでいく連載15回目は、「モノリス」の石井剛シェフの推薦で「à table」の中秋陽一シェフをご紹介します。

 

 

ア・ターブル (à table)

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湯島天神裏の蔵前橋通り沿い、大通りに赤いシェードが見えてくると、そこはパリが香るビストロ。「パリ・モンマルトルの雰囲気をお楽しみください」とホームページにあるように、外観もインテリアもパリの下町そのままの佇まいの「à table」。店内は1階がカウンター4席、2階にテーブル席が22席のこじんまりとしたアットホームな雰囲気が温かい。
21歳ですでにシェフを任されたという中秋陽一さんの料理は、奥行きがある引き出しを持ち、高い技術をベースにした本格派。 自家製シャルキュトリー・豚・仔羊・鳩、ジビエなどフランスのエスプリが詰まったひと皿ひと皿、野うさぎ、穴熊、猪など日本ではなかなか味わう機会のない料理のオンパレードだ。

 

 

 

 

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なかでも日本シャルキュトリー協会のリクルート世界選手権アジア大会2017に出品して、見事4位に輝いた「パテ・アン・クルート」ははずせない。

肉とファルスの部分、パート(生地)の厚さのバランスを取るようにしているというパテ・アン・クルートはなんと独学。リヨンでおいしいパテ・アン・クルートを食べて、興味を持ったものの作り方を知らなかった。本を開いたり、YouTubeを見たりして勉強しながら少しずつ形にしていった。練習のためにコンクールに出ているという勉強熱心な中秋シェフ。何度も試作し、納得のいかない部分を修正しながら完成に近づけ、次は優勝を狙う。

 

 

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中秋シェフは、81年生まれ、東京江戸川出身。高校生の時イタリア料理屋でアルバイトをしてから飲食に興味を持った。料理を作ってる人を見てコック帽のかっこよさ憧れ、お願いしてキッチンに入れてもらう。高校卒業後は専門学校へ。食べたことがないジャンルへ進みたかったので、フランス料理の道を志ざした。卒業後、名店「モナリザ」に就職,。勉強したのはクラシックなフランス料理というよりも巨匠河野透シェフの料理だったという。
その後渡仏。アヴィニョン、サヴォア、ブルゴーニュへ。「自分がおいしいと思った料理が食べたい」。それは昔から継承されている伝統的なフランス料理だった。ときに星もないビストロこそがおいしいと感じる本場のフランス料理。以来、作るときに意識するのはフランス人がおいしいと思ってくれるかどうかだ。
帰国後、28歳で独立、学芸大学で「イグレック」(現在は閉店)をオープン。2軒目「à table」を始めてからは5年目を迎える。

この店ではアラカルトというスタイルをとっている。自分で食べたいものと品数が選べるほうがお客さまには嬉しいだろうと思ったところから始まった。ボリュームは、2人で3品、3人で4品が適量とメニューに明記されているが、ポーションとしては、デザートを注文してちょうどよいくらいだろう。
少量多皿の今の時代、どこに行ってもお任せのコースが主流のトレンドに逆行する、いまどき珍しいタイプの店、ここでは3皿で完結するというスタンスだ。あるいは、ひとりでも、気軽にカウンターに座り、シェフに相談しながら特別なメニューをお願いすることもできる。

 

 

 

 

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スペシャリテのリエーヴル・ア・ラ・ロワイヤル(野うさぎのワイン煮)は、昔の古典の本を開いたり、最近の本で研究し、いまどきのクラシックとは何か? を考えながら作っている。味はロワイヤルにしなくてはならないが、日本人にも食べられるように、ケモノ臭さを抑え軽くしなければならない、というギリギリのところを調整しながら完成させていった。

ロワイヤル(王族風)という名前の由来には、諸説あるものの、ワインやフォアグラ、トリュフなど貴重な食材を使用し、手間をかけて長時間煮込む贅沢な王侯貴族の料理ということから名付けられたとされている。マニアの多いこの料理、フランスでは、トップシェフ達が腕を競うリエーヴル・ア・ラ・ロワイヤルの大会も開催されているほどだ。

中秋シェフの世代で本格ジビエをはじめ、フランス本来の味を満喫できる料理を作っている料理人はあまりいない。
ジビエは、実は季節とされている秋より春のほうが多く仕留められるという。今は、県と協力し合い積極的に徳島県のジビエを使うことで、優先的にいい素材を入手している。通年ジビエを入手できるのは、駆除動物を引き取っているから。廃棄するならおいしく食べてもらおう、という考えもある。ジビエをいつでも食べることができる店は少なく、ファンにとってはたまらない貴重な存在だ。

 

 

 

 

 

パテ・アン・クルート  2300円

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パイ皮の中に豚肉、豚足、仔牛、鴨にピスタチオ、レーズン、キノコ類を詰めて、中心には、フォアグラのコンフィとコンソメジュレを鶏胸肉の燻製で包んで筒型に丸めて整然と仕込んである。しっとりなめらかな肉のグラデーションにサクサクのパートが味も食感も軽やかなコンクール入賞作品。

 

 

 

 

 

徳島産野うさぎのリエーブル   9500円
(リエーヴル・ア・ラ・ロワイヤル)

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リエーヴルのワイン煮込み。自らが写り込むような漆黒の濃厚なソース。水を一切使わずにワインのみを使用し、しっかりと煮詰められたソースは美しく飾り一つ必要ない、いわゆる完璧なミロワール(鏡面)の仕上がり。ひとくち食べれば抵抗なく肉塊がとろける。フランス料理のなかでも最も技術が問われる煮込み料理の一つ。
野うさぎを知らない人も多いので、あまり熟成させないで香りを抑える。できるだけ内臓を使わないでケモノ臭さを出さないようにソースを工夫している。本当にロワイヤル好きな人には、逆に物足りないかもしれないという。家禽のウサギだと思って注文する人もいれば、この料理を知っていて注問する人も。まだまだ日本社会では珍しい料理。駆除対象の野うさぎを使うため、一年を通して取れた時に連絡をもらう。そんなに手に入る食材ではないが、ありがたいことに収穫の20パーセントぐらいを年間入手している。美しいビジュアルにもまして、肉の柔らかな仕上がりとソースの味わいや濃度が抜群の逸品。

 

 

 

 

 

ラム酒で漬けたドライフルーツの焼きたてサブレ  980円

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バター生地のにドライフルーツを入れたガレットブルトンヌを意識した。ブルターニュ地方は、酪農が盛んで乳製品の産地として有名。10年ぐらい前に暖かいデザートを作りたいと思って考案した。レシピは、ガレットブルトンヌに近いが、オリジナル。サクサクとした食感とバターの風味香る甘じょっぱい味わいの厚焼きサブレが食べがいのあるケークバージョンに進化したデザート。

 

 

 

 

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ア・ターブル (à table)
東京都文京区湯島3-1-1木村ビル1F
03-5812-1212
東京メトロ銀座線 末広町駅 徒歩4分 千代田線 湯島駅 徒歩7分
JR総武線 御茶ノ水駅 徒歩6分
月〜金
18:00~24:00(L.O.23:00)
土曜日・祝日
18:00〜23:00(L.O22:00)
日曜日休み(月1日不定休あり)

 

 

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